中古自動車査定士
不要になった中古車を処分する場合には、基本的にはディーラーに下取りに出すというケースが多いですが、近年では中古車の買取業者に引き取ってもらうという人も増えています。
中古車買取業者の中には、遠方からでも出張旅費無料で見積もりに来てくれるところがありますし、簡単な情報を入力するだけで複数の業者から一括見積もりをとるサービスなど、利用しやすくなっていることも大きな影響を与えています。
中古車を買い取ってもらう場合には、通常は査定士と査定額を相談してから契約するという流れになっています。そのため、買取業者を選ぶときには査定士の資格を持っているスタッフがいるところを選んだほうが価格も適正なものになりやすいですし、業者に対する信頼性もあります。
中古自動車査定士は、中古自動車の価格査定を行うための民間資格で、一般財団法人日本自動車査定協会が実施する「中古自動車査定士技能検定」に合格した人を指しています。
査定士の資格は需要があり、ディーラーや中古車販売会社、リース・レンタル業者などに勤務して、持ち込まれた車両の傷、使用年数、走行距離などを適正に判断し、買取や下取り価格の算出を行います。査定士と査定額に納得できた場合に契約をするという人も多いため、営業窓口としても重要な役割を担っています。
査定士が必要となった背景には、以前は中古車の相場価格が地域によってもまちまちであったことが考えられます。中古車を買い取る際に、その車のさまざまな条件から適正な査定額を判断するために、通商産業、運輸省の指導のもと、昭和54年4月1日に中古自動車査定制度というものが発足しました。
これが査定士が必要となった背景で、これによって査定士と査定額が全国共通の基準となりましたので、中古車市場の相場も安定化し、結果的に中古車市場を一般消費者が利用するケースが増えてきました。
このような査定士の資格は筆記試験や実際に査定を行う実技など、さまざまな試験に合格する必要があります。査定士の資格は小型車査定士と大型車査定士に分かれており、小型車の場合には一般乗用車、商用車及び最大積載量4t未満の貨物車の査定を行うことができます。一般車両の取り扱いのみを行っている買取業者やディーラーの場合には、こちらの資格を所有しているだけでも十分です。
一方、大型車査定士は小型車査定士が扱う車両以外の大型貨物車、バス等の査定を行うことができますが、小型車の査定を行うことができません。そのため、幅広い種類の車両を買い取っている業者の場合には、複数の査定士を用意するか、両方の資格を取得する必要が生じます。
近年のように出張見積もりを行う場合など、遠方で契約をした後、持ち帰った車両に新たな損傷が見つかり、大規模な修理が必要になって利益にならないというケースもありますし、逆に本来の相場よりもかなり安い金額で引き取り、元のオーナーが大幅な損失を出すというケースもあります。
そのため、表面の傷や汚れ、へこみだけでなく、電気系統やエンジン周りなど、目に見えない箇所も正常に動作しているかをチェックしています。
これによって、中古車買取業者、消費者双方に納得のいく金額で取引ができますし、オーナーが買取り価格について疑問があるときにも、きちんとした根拠を提示して買取り金額の説明をすることができます。
近年では、資格取得者を雇用するだけではなく、買取や下取りを行う業種についたスタッフは、この資格を積極的にとるように推奨されており、就職後に資格を取得するケースも増えています。